空手との併修にも、八光流柔術は最適だった

千唐流空手道の組手試合での蹴り 武術・護身ブログ

空手や拳法を長く学んできた私にとって、八光流柔術はまったく異質でありながら、不思議なほど自然につながる武術でした。

特に千唐流ちとうりゅう空手道とは、医術と武術の融合「柔」へ向かう考え方など、多くの共通点があります。

今回は自身の経験をもとに、空手家に八光流柔術が適している理由を考察します。


生理解剖医学に立脚した千唐流空手道

私は八光流柔術を始める前、10代から拳正道(少林寺拳法の流れを汲む)、日本拳法を学び、その後もスポーツチャンバラ、大道塾空道、時津流自成道、千唐流空手道などを稽古してきました。

スポーツチャンバラ以外はいずれも拳法や空手にざっくりと分類できますので、八光流柔術が唯一の柔術系武道となっています。

それらの中で特に長く稽古していたのが千唐流空手道であり、試合でも何度か上位入賞することができました。

千唐流空手道とは、沖縄出身の千歳強直ちとせつよし(1898~1984)開祖が1946年(昭和21年)に創始した歴史のある空手流派で、現在は熊本市に総本部があります。

千歳開祖は、新垣世璋あらかきせいしょう東恩納寛量ひがおんなかんりょうなど那覇手系の大家や、本部朝勇もとぶちょうゆう喜屋武朝徳きゃんちょうとくなど首里手系の大家に学び、剛柔流開祖・宮城長順みやぎちょうじゅんとは互いを認め合う兄弟弟子(共に東恩納寛量に師事)でした。

また、剣道の高野佐三郎や中山博道、柔道の三船久蔵など、本土の一流武道家たちとも広く親交があったそうです。

千唐流空手道・千歳強直初代宗家
千唐流空手道・千歳強直初代宗家

千唐流空手道は時代に先駆けて、防具を用いた安全かつ実戦的な組手ルールを取り入れ、現在も「防具付空手」流派の代表的存在として知られています。

千唐流空手道の防具組手試合
千唐流空手道の防具組手試合

また、千歳開祖は医師でもあったため、医学的知識(生理解剖医学)と空手を融合させ、独自の流儀体系を築いています。


千唐流空手道と八光流柔術の共通項

実は、千唐流空手道と八光流柔術には共通する点が多いと考えています。

生理解剖医学を融合した空手である千唐流空手道。

それと、皇法医学をベースにした柔術である八光流柔術。

共に、医術と武術が一体となっており、「活殺自在」の術技を伝承しています。

千唐流空手道の技法では、宗家に一子相伝される型「ガンフー」に象徴されるように、琉球舞踊にも似た柔らかい手の動きも用います。まさに「柔(やわら)」に通じる極意が含まれているようです。

もちろん空手なので「剛を究める」面はしっかりとありますが、一定の段階からは「柔を究める」方向に進む流派だと認識しています。

だからこそ私も、空手から八光流柔術へと自然に向かうことができたのかもしれません。

また千唐流空手道は、初代・千歳強直宗家から、二代・千歳強直宗家を経て、現在は三代・千歳強直宗家(2023年に襲名)が継承しています。

八光流柔術は、初代・奥山龍峰宗家から、現在は二代・奥山龍峰宗家が継承しており、三代の奥山貴士次期宗家が先頭に立って指導にあたられています。

三代・奥山貴士次期宗家については、先日公開された『月刊秘伝』公式YouTube動画もご参照ください(私が技法実演の相手を務めさせていただきました)。

また、千唐流空手道と八光流柔術は創流時期が近く(八光流が5年早い)、初代宗家、二代、三代の世代も近いのです。

いずれも空手と柔術において、知る人ぞ知る名門流派といえるでしょう。


千唐流空手道の中山隆嗣先生

私が千唐流空手道を学んでいた時の師匠は、千唐流空手道・直真塾じきしんじゅく主宰の中山隆嗣なかやまたかつぐ先生です。

中山先生は「快整体術」の創始者でもあり、長年にわたり「活殺自在」を追究している武術家です。

そして実は、武術専門誌『月刊秘伝』の企画で、八光流柔術の二代・奥山龍峰宗家と中山先生は、武医同術をテーマに対談したことがあるのです。

その記事は、中山先生の著書『活殺自在になる』(BABジャパン)にも再録されています。

NHKの武術番組「明鏡止水」などテレビ出演歴も多い千唐流空手道の中山隆嗣先生については、近日改めてこのブログでご紹介したいと思います。


空手を学ぶ方々にオススメしたい八光流柔術

今年の1月に私が八光流柔術教室をスタートして以来、武道経験のない方も多数来ていただいていますが、極真空手、空道、クラヴマガ、シラット、ブラジリアン柔術、合気道、太極拳、古武術など、様々な武道・武術経験者も来られています。

いずれの方々も、八光流柔術が持つ独特の理合に新鮮な感覚をもっていただいているようです。

中でも、フルコンタクト空手や全空連系の競技空手など、「剛を究める」タイプの空手を熱心にやってこられた方は、特にカルチャーショックを受けるようです。

突き蹴り等の打撃技を中心とし、力とスピードを追求してきた空手家にとって、八光流柔術はまさに対照的といえます。

八光流柔術も当身は活用しますが、あくまでも一瞬の隙を誘うためのものであり、相手をできる限り傷つけずにその場を収めることを目指します。

八光流柔術の当身については、記事「多様な場面で使える! 八光流柔術の当身とは?」をご参照ください。

多様な場面で使える! 八光流柔術の当身とは?
柔術には本来、「当身あてみ」と呼ばれる打撃技法があります。前回の記事では、空手やキックボクシングの打撃との違いをご紹介しました。今回はさらに踏み込み、八光流柔術に伝わる当身の具体的な用法についてご説明します。八光流柔術の当身はどのようなもの…

そして、無駄な力をなくした柔らかい接触で関節や経絡に効かせ、自然に相手をコントロールしていくのです。

眉間にしわを寄せた厳しい表情もせず、柔和な雰囲気で包み込んで相手の闘争心を消失させることを目指します。

このように「剛を究める」タイプの空手とは正反対だからこそ、併修する武術として最適なのではないでしょうか。

私も、実力の程はさておき空手や拳法の出身であるため、そのような実感が強くあります。

空手家の皆さんもご興味があればぜひ一度、八光流柔術をご体験いただければ幸いです。


八光流柔術の魅力は、実際に身体で体験してこそ伝わる部分も多くあります。
護身道シブヤは、初心者の方にも安心して参加していただける少人数クラスで行っています。

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