武道において、「黒帯」は最終到達点のように思われがちです。
しかし実際には、黒帯よりも上の帯色が設けられている武道も少なくありません。
本記事では、柔道・空手・合気道・ブラジリアン柔術などを例に、「黒帯の先」はどうなっているのかを紹介していきます。
帯色制度の原型となった柔道の場合
空手、柔道、合気道、少林寺拳法、ブラジリアン柔術などの武道において、黒帯は熟練者の証として知られています。
ただし、同じ黒帯といっても、その意味や、到達するまでの年数、難易度は、それぞれの武道、流派、団体、師範によって様々であることは、前の記事「武道ごとの「黒帯」までの年数と意味について」で書きました。
そして今回は、おそらく一般の人には意外と知られていないことですが、武道の種類によっては「黒帯よりも上がある」ことについて書いてみます。
まずは、各種武道の帯色制度の原型となった柔道について見ていきましょう。
四級以下:白帯
三級~一級:茶帯
初段~五段:黒帯
六段~八段:赤白帯
九段~十段:赤帯
ちなみに14歳未満の少年の場合は、白帯と茶帯の間に、水色帯、黄色帯、オレンジ帯、緑帯、紫帯があり、細かくステップアップを実感できるようになっています。
このように柔道では、黒帯の上には、赤白帯、そして赤帯が存在しています。
ただし、それらを取得するには試合実績だけでなく、年齢条件(赤白帯は27歳以上)、段位取得後年数、そして柔道界への大きな貢献が必要となるようです。
なお、オリンピックなどの大会においては、赤白帯などの着用は認められていないため、もし六段以上の選手が出場する場合も黒帯を締めます。
空手・少林寺拳法・合気道は黒帯が頂点
空手については、流派や団体が多種多様となっており、それぞれに独自の帯制度を定めています。
おおよそ共通しているのは、初段以上が黒帯であり、高段者も変わらず黒帯を締め続けます。そのため、黒帯に相当な年季が入り、擦り切れて白っぽくなっている空手家もいます。それが熟練の証という見方もあるかもしれません。
なお、全日本空手道連盟(JKF)などの試合に出場する際は、組手・形ともに対戦相手との区別をはっきりさせるため、片方が赤帯、もう片方が青帯を締めることになっています。
また、極真空手などのフルコンタクト空手では、段位が上がると黒帯の端に金線が増えていくシステムになっている団体が多いようです。
初段は黒帯の端に金線が一本、二段なら二本で、三段ぐらいになると金線が縞模様のように輝き、かなりの存在感が出てきます。
これは「筋金入り」になったという意味合いもあるそうです。
少林寺拳法や合気道も、空手と同じく黒帯が最も上位に位置しています。
ただし、少林寺拳法の場合は、演武の際などに有段者が法衣(黒色の羽織物と縄のような帯)を着用することもあります。
また合気道では、有段者になると袴を着用します(女性は概ね三級以上で袴着用)。その際、黒帯を締めた上に袴を着用するため、黒帯は見えない状態となります。
ブラジリアン柔術も黒帯のさらに上があった
ブラジリアン柔術においては、おそらく他のどの武道よりも黒帯への壁は高く、師範レベルの証といえます。
実はさらに、日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)の規定によると、黒帯より上の帯が存在しています。七段が赤黒帯、八段が赤白帯、九段・十段が赤帯です。
ただし、2026年現在で、まだ日本人の赤黒帯保持者は一人も出ていないようです(中井祐樹氏が2030年に初の取得者になる予定といわれています)。
ちなみに、私が以前学んでいた千唐流空手道にも、黒帯の上に、赤黒帯、赤白帯、赤帯があります。所属していた道場の中山隆嗣師範(NHK「明鏡止水」にも出演)は赤黒帯を締めていて、黒帯ともまた違うその帯の風格は憧れの対象でした。
八光流柔術における紫帯
そして、八光流柔術にも黒帯の上が存在しており、師範免状取得者は紫帯を締めます。さらに皆伝師範になると紫帯に「皆伝」の文字が入ります。
紫という色は、聖徳太子が定めた冠位十二階においても最も位の高い色とされていました。
八光流柔術では合気道と異なり、袴の上に紫帯を締めるため、見た目にも師範ということがわかりやすくなっています。
紫帯の着こなしについては、記事「稽古の時の服装はどうすればよい?」にも書きました。
以上のように、武道によっては黒帯よりもさらに上の帯が存在しています。
もちろん、武道の本質に迫るうえで帯の色は直接関係ありません。大切なことは、純粋な実力、術理の理解と修得、人を惹きつける指導力、そして人格の陶冶、社会への貢献などといえるでしょう。
しかし、特に武道を知らない人から見た場合、帯の色はかなり印象的であり、それが一つの客観的な指標になることもまた事実でしょう。
ぜひ八光流柔術を、お気軽に体験していただきたいと思います。
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